最初は楽しそうにやっていたのに、もう飽きてしまったみたい——。そんな様子に、心当たりはありませんか。タイピングは、同じ動きをくり返して身につけるものです。飽きるのは、その子の根気の問題ではありません。練習のしかたの問題です。

この記事では、私が教室で実際にやっている4つの対応と、その中でいちばん効くと感じているものをお伝えします。

飽きる原因は、だいたい2つ

教室で子どもたちを見てきて、飽きる原因のほとんどは、次の2つにまとまると感じています。

原因が2つなら、対応もそれに合わせれば足ります。教室でやっていることを、原因ごとに整理すると次のようになります。

飽きる原因は2つ。対応は原因に合わせる 飽きる原因 1同じ言葉のくり返し ① ゲーム形式に切り替える(教室でいちばん効く) 飽きる原因 2上達が見えない ② 記録を見せて、ほめる③ 友だちとスコアを競う どちらにも効く:④ いやになる前に、短く切り上げる
図:飽きる2つの原因と、教室でやっている4つの対応

いちばん効くのは「ゲーム形式に切り替える」

4つの中で、私がいちばん効くと感じているのは、練習をゲーム形式に切り替えることです。

理由は、1つ目の原因にまっすぐ効くからです。ゲームでは、出てくる言葉が毎回変わります。正しく打てたかどうかが、その場で画面に返ってきます。同じ「キーを打つ」という動きでも、子どもにとっては練習ではなく遊びになります。

カタカタランドの花火タイピングを教室の生徒に試してもらったときも、子どもたちは打ち切るたびに上がる花火の演出を喜び、友だち同士で称号やスコアを見せ合って競っていました。楽しんでいるあいだ、子どもは自分が練習しているとは思っていません。ゲーム形式のいちばんの強みは、そこにあります。

飽きてきたら、コースを変えるのも手です。同じタイピングでも、動物の名前、都道府県、ことわざと、出てくる言葉が変わるだけで、気分が変わります。その日のコースを子ども自身に選ばせると、教室でも反応がよくなります。

残りの3つの対応

短く切り上げる

教室でタイピングに使う時間は、1回のレッスンで5分ほどです。短いと感じるかもしれませんが、いやになる前にやめるほうが、次回も気持ちよく取り組めます。「もうちょっとやりたかった」で終わるくらいが、ちょうどいい長さです。

記録を見せて、ほめる

2つ目の原因、「上達が見えない」への対応です。タイピングの上達は、本人にはなかなか実感できません。そこで、前回の記録とくらべて見せます。教室では「先週より10打速くなったね」というように、前回の本人との差を言葉にするようにしています。

ご家庭には、記録を「見える化」することをおすすめしています。カレンダーにシールをはる、スコアをノートに書きとめる、といった小さな記録で十分です。カタカタランドも、自己ベストや連続プレイ日数が画面に残るようにしてあります。

友だちと競わせる

教室では、友だち同士でスコアを競うと盛り上がります。ただし、1つだけ区別してほしいことがあります。子ども同士が自分たちで競うのと、大人が子どもをくらべるのは、別のものです。

教室で「うまくいっていない」と感じるご家庭でよく見られるのが、兄弟やお友だちとくらべてしまうケースです。たとえば「お兄ちゃんはもっと速かった」のような一言は、やる気をうばいます。競うのは、本人がやりたがったときだけ。大人がくらべる相手は、「前回のその子」だけにしてください。

教室で使っている、3つの声かけ

飽きてきた子に、教室で実際に使っている声かけです。おうちでも、そのまま使えます。

やらない日があっても、かまわない

最後に、いちばん大事なことです。私は、家庭での練習を宿題のように指示することはしていません。保護者の方には「気が向いた時でいい。短時間でいい」とお伝えしています。

飽きている子に無理に続けさせると、タイピングそのものがきらいになりかねません。何日か間があいても、また打ちたくなったときに始めれば大丈夫です。教室で「うまくいっている」と感じるご家庭に共通しているのは、教えすぎないこと、口を出しすぎないことです。

まとめ

この記事を書いた人

伊藤 啓太

「MUTSUMIプログラミング&クリエイティブラボ」講師。ITやAIの専門家として中小企業の伴走支援や研修も行い、地域の商工会議所にIT専門家として登録しています。教室で小中学生にタイピングとプログラミングを教えた経験をもとに、カタカタランドを運営しています。