タッチタイピング(手元を見ないで打つこと)の土台になるのが「運指(うんし)」、つまり「どの指でどのキーを打つか」のルールです。教室で子どもたちを見ていると、運指がきちんと身についている子は、あとからスピードがぐんぐん伸びていきます。逆に、自己流で打ち続けると、あるところで止まってしまうことが多いです。この記事では、運指の基本を表つきでやさしく整理します。

1. まずはホームポジションから

運指の出発点はホームポジションです。キーボードの FJ をよく見てみてください。小さな突起(でっぱり)があるはずです。これは、目で見なくても指の位置がわかるようにつけられた目印です。

左手の人さし指を F に、右手の人さし指を J に置いて、そこから順番に指をならべます。教室では「FとJに人さし指、おとなりに中指、そのとなりが薬指、いちばん外が小指」と声に出しながら置いてもらっています。最初はゆっくりでかまいません。

左右の手の置き場所

小指薬指中指人さし指
左手ASDF
右手;(セミコロン)LKJ

両方の親指はスペースキーの上にそっと置きます。これが、すべての運指のスタート地点です。くわしくはホームポジションの覚え方もあわせて読んでみてください。

2. それぞれの指が担当するキー

キーボードは、たてに3段(上段・中段・下段)あります。中段にホームポジションを置いて、そこから「上の段」「下の段」へ指をのばしていくのが基本です。指の担当は左右でほとんど同じで、まんなかの2列(YとB、HとN)は人さし指がよこにのびてカバーします。

左手の担当キー

上段中段(ホーム)下段
小指QAZ
薬指WSX
中指EDC
人さし指R・TF・GV・B

右手の担当キー

上段中段(ホーム)下段
人さし指Y・UH・JN・M
中指IK,(カンマ)
薬指OL.(ピリオド)
小指P;/(スラッシュ)

教室でよく出るつまずきは、「Bを右手の人さし指で打ってしまう」ことです。Bは左手の人さし指、Nは右手の人さし指、と分けて覚えるのがコツです。ここがそろうだけで、スピードがぐっと変わってきます。

3. 母音(あいうえお)はどの指で打つ?

ローマ字入力でいちばん多く出てくるのが母音、aiueo の5つです。ここの運指が安定すると、ほとんどの言葉がスムーズに打てるようになります。

母音担当する手
A左手小指
I右手中指
U右手人さし指
E左手中指
O右手薬指

「A」だけ左手の小指、というのが最初のヤマです。小指はいちばん力が弱いので、子どもたちもよく「届かない」「打ちにくい」と言います。慣れるまでは、ほかの指を浮かさず、小指だけをのばすイメージで打つようにアドバイスしています。

4. よく使う子音はこの指で

つぎに、出てくる回数が多い子音です。kstnhmrw のあたりを押さえておくと、日本語のほとんどの文字が打てます。

子音担当する手
K右手中指
S左手薬指
T左手人さし指
N右手人さし指
H右手人さし指
M右手人さし指
R左手人さし指
W左手薬指

たとえば「かたかた(katakata)」と打つときは、「右中→左小→左人→左小→右中→左小→左人→左小」とリズムよく指が動きます。慣れてくると、頭で考える前に指が先に動くようになります。これがタッチタイピングの気持ちよさです。

5. 数字と記号の打ち方

いちばん上の段にある数字も、運指は決まっています。基本は、その下のアルファベットを打つ指と同じ指で打ちます。

数字担当の指
1左手 小指
2左手 薬指
3左手 中指
4・5左手 人さし指
6・7右手 人さし指
8右手 中指
9右手 薬指
0右手 小指

「ー(長音)」や「、」「。」などの記号は、右手の薬指・小指が担当することが多いです。小指は最初きついので、無理しないで「打てたらラッキー」くらいの気持ちで練習を始めるとよいでしょう。

6. シフト・スペース・エンター・バックスペース

文字キー以外の「特別なキー」も、担当する指を決めておくとミスが減ります。

キー担当の指使いどころ
スペースどちらかの親指言葉の区切り・変換
エンター右手 小指改行・決定
バックスペース右手 小指1文字消す
左シフト左手 小指右手で打つ文字を大文字にするとき
右シフト右手 小指左手で打つ文字を大文字にするとき

シフトキーには「打つ文字と反対側の手」を使う、というルールがあります。たとえば「A」を大文字にしたいときは、左手の小指でAを打つので、シフトは右手の小指でおさえます。同じ手だと、指がからまってミスのもとになります。教室でも、ここを直すだけで打ち間違いがすぐに減る子が多いです。

7. カタカタランドのキーボードガイドで練習しよう

「指の担当を覚えるのは、なんだか大変そう……」と感じたかもしれません。でも、最初から全部を暗記する必要はありません。花火タイピングには、画面のなかにキーボードガイドがついていて、次に打つキーが光るしくみになっています。さらに、指ごとに色分けされているので、「あ、これは左手の中指だな」と見ながら自然と覚えていけます。

最初のうちは、ローマ字入力に慣れていない子のために「大文字で表示」モードもあります。キーボードの印字(A・B・C…)とそろえることで、まだ小文字と大文字を結びつけられない低学年でも迷わず打てるようになります。慣れてきたら小文字に戻して、本来のタイピングに移っていきましょう。

運指は「知っているけど、できない」がふつうです。教室でも、1日5分でも毎日さわっている子は、3週間くらいで指が勝手に動くようになってきます。ゲーム感覚で続けられるしくみを使って、楽しみながら身につけてください。

まとめ

運指の基本は「ホームポジションを起点に、それぞれの指の担当が決まっている」というシンプルなルールです。母音・よく使う子音・数字・記号・シフトキーの担当を少しずつ覚えていけば、手元を見なくても打てる「タッチタイピング」に近づいていきます。あせらず、1つの行(あ行・か行…)ずつでも大丈夫です。

カタカタランドのキーボードガイドを使えば、どの指で打つのかを目で確かめながら練習できます。花火タイピングから、気軽に始めてみてください。タイピングの全体像を知りたい方はタイピングのコツ一覧もどうぞ。

この記事を書いた人

伊藤 啓太

「MUTSUMIプログラミング&クリエイティブラボ」講師。ITやAIの専門家として中小企業の伴走支援や研修も行い、地域の商工会議所にIT専門家として登録しています。教室で小中学生にタイピングとプログラミングを教えた経験をもとに、カタカタランドを運営しています。