いまの小学生は、1人1台の端末を使って授業を受けています。調べ学習も、発表の資料づくりも、キーボードで文字を打てることが前提になってきました。では、学校ではいつから、どのようにタイピングを教わるのでしょうか。
この記事では、私の教室に通う子どもたちから聞く学校での様子と、保護者の方にお伝えしている考え方をまとめます。学校での様子は、あくまで私の教室のまわりの学校について、生徒から聞いた範囲の話です。地域や学校によってちがう点は、ご了承ください。
学校でタイピングが始まるのは、小3〜小4ごろ
生徒たちの話を聞くかぎり、学校でタイピングに取り組み始めるのは、小学3〜4年生ごろが多いようです。国語の授業でローマ字を習う時期と重なります。
練習のしかたは、授業の中で時間を取って行う形が多く、タイピングゲームを使って練習している学校もあるようです。端末は、私の教室のまわりではChromebookを使っている学校が多くなっています。
つまり、学校でのタイピングは「ローマ字を習う」のとほぼ同時に始まります。ここに、つまずきやすい理由があります。
学校で始まったとき、同時に覚えることが多すぎる
キーボードにさわったことがない子は、学校でタイピングが始まった瞬間、次の3つを同時に覚えることになります。
- ローマ字:「か」は
ka、というルールそのもの - キーの場所:その
KやAが、キーボードのどこにあるのか - キーボードの操作:どのくらいの力で押すのか、まちがえたらどのキーで消すのか
私の教室では、小学1年生から少しずつキーボードにさわり始めます。学校でタイピングが始まるより、前です。その時点では、ほとんどの子がローマ字を読めません。ローマ字表を横に置いて、見ながらゆっくり打つだけです(→ 小1からタイピングは早い?)。
それでも、先に始める意味はあります。キーの場所と操作に、先に慣れておけるからです。学校でローマ字を習ったとき、その子が新しく覚えるのは、ローマ字だけで済みます。
先に慣れていた子は、学校で困らない
「学校でもやるのに、教室でもやる意味はありますか?」と聞かれたら、私はこう答えます。先に慣れておけば、学校で困らない。それがいちばんの理由です。
実際、教室で先にキーボードにさわっていた子からは、学校の入力の作業で困っているという話を聞きません。そして、学校でローマ字を習った子は、教室に来るなり「ローマ字おぼえたんだよ!」と、自分から打って見せてくれます。ローマ字表を見る回数が減るので、そこから打つ速さも上がっていきます。
学校の授業は、クラス全員が同じペースで進みます。キーをさがすのに時間がかかる子は、それだけで授業の内容に追いつくのが大変になります。タイピングは、授業の「目的」ではなく「道具」です。道具でつまずかないようにしておくことが、先に始めるいちばんの価値だと考えています。
学校の端末と、教室や家のパソコンはちがう
教室のパソコンはWindowsです。学校のChromebookとのちがいで、子どもたちが戸惑うのは、おもに次の2つです。
| ちがう点 | どう戸惑うか |
|---|---|
| キーボードの大きさや打ち心地 | キーの大きさ、押したときの深さや軽さが、機種によってちがいます。いつもとちがうキーボードだと、最初は打ちにくく感じます |
| マウスとタッチパッド | 学校の端末はタッチパッドで操作し、教室ではマウスを使います。矢印の動かし方やクリックのしかたがちがいます |
これは、どちらかが正しいという話ではありません。「機械によってちがって当たり前」と知っているだけで、子どもの戸惑いは小さくなります。おうちにパソコンがあるなら、「学校のとはここがちがうね」と、一度いっしょに見くらべてみてください。
なお、日本語と英語を切りかえるキーも、WindowsとChromebookでは場所がちがいます(→ 変換・確定・切りかえの教え方)。「ローマ字を打っているのに、ひらがなにならない」といった相談は教室でもよくあります。直し方はよくあるキーボードトラブルの直し方にまとめています。
学校で始まる前に、おうちでできること
教室に通っていなくても、準備はできます。ここからは、私からの提案です。
- 小1〜小2のうちに、キーボードにさわる機会を作る:速さも正しい指づかいも、まだいりません。ローマ字表を横に置いて、自分の名前や好きな言葉を打ってみるだけで十分です(→ 印刷できるローマ字表)
- 短い言葉のタイピングゲームで遊ぶ:はじめてタイピングは「め」「て」「あか」など1〜3文字の言葉が中心、どうぶつタイピングは2〜4文字の言葉が中心です。どちらもお手本が大文字で表示されるので、キーボードの印字とそのまま見くらべられます
- パソコンを買うかどうかは、あとで決めていい:家にあるパソコンや、タブレットに外付けのキーボードをつなぐ形でも始められます(→ 子ども用パソコンの選び方)
カタカタランドは、アカウントの登録もインストールもいらず、ブラウザだけで動きます。学校での利用も歓迎しています(→ 先生・保護者の方へ)。
まとめ
- 学校でタイピングが始まるのは、小3〜小4ごろ。ローマ字を習う時期と重なる
- キーボードが初めての子は、ローマ字・キーの場所・操作の3つを同時に覚えることになる
- 先にキーボードに慣れておけば、学校ではローマ字だけに集中できる。だから学校で困らない
- 学校の端末と家のパソコンは、キーボードの打ち心地も、マウスかタッチパッドかもちがう。ちがって当たり前と伝える
- 準備は、小1〜小2のうちにキーボードにさわる機会を作るだけでいい